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本音を言えば、あのまま押し倒して抱きたかった。
でもそれはダメだ。
アキが俺を好きかどうか確証もないまま抱くのはあまりにも危険な賭けだ。
漸くキスまでは受け入れてくれるようになったのだ。
自分の欲望の赴くままに手を出して、せっかく手に入れた恋人という立場を失いたくない。
───だから、我慢する。
いつかアキが、本当に俺を好きになってくれるまで。
アキの気持ちが俺に追い付くまで。
「夜神?」
小さく俺を呼ぶアキ。
「寝たのか?」
「………」
「…夜神。」
「………」
欲望が暴走しないように、ひたすら寝たフリをする。
───なのに。
さらりと。
何かが、俺の髪に触れた。
動きでわかる。
───アキの指。
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