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「…かっこつけたかったから。」
「え?」
暗い部屋に、夜神の声が響く。
高すぎず、低すぎず、けれどどちらかと言えば低音よりの声。
夜神の声は好きだ。
こうして静かな空間で、ずっと夜神の声を聞いていたいとさえ思う。
「その難関の学部に入った夜神、カッコイイって、思ってもらいたかった。そんだけ。」
「………」
「アキがいなかったら、そんなめんどくせぇことしてねぇし、そもそも進学しうとも思わなかった。」
「………」
「俺の行動原理は、大半がアキだから。」
夜神の言葉ひとつひとつに、オレの胸の奥がキュッとなる。
多分、夜神にとっては嘘偽りのない、素直な気持ちなんだろう。
それがわかってるからこそ、オレをどうしようもなく喜ばせるんだ。
「…何だソレ。なんかオレ、責任重大だな。」
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