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暗がりの中、ゆっくりと夜神の顔が近づいてくるのがわかる。
キスされる、と思った瞬間。
それは唇ではなく、頬に落とされた。
…てっきり唇にされるとばかり思ってたから、なんだか物足りない気持ちに襲われた。
「口にされると思ったか?」
「っ!」
不意に図星を突かれ、思いきり動揺してしまう。
そしてそれを夜神が見逃す筈もなかった。
「そんなにしてほしかったか?」
「なっ…まさか!」
「顔真っ赤だ。素直になればいいのに。」
「だから違うっ!」
どれだけ必死に否定しても、動揺は消せない。
「───」
唇に柔らかい物が触れ、今度こそ唇にキスされたとわかった。
舌を触れ合わせるたびに、互いの吐息が静寂の中で響いて、それが官能を甘く擽る。
「ン…はぁ…」
「アキ…」
ほんの数ミリの距離───と言ってもほぼ触れ合っている───で囁かれ、身体がゾクゾクした。
至近距離で見つめあったまま、何も言わない。
オレを見つめる夜神の双眸には、葛藤にも似た熱情がこもっている。
熱っぽく見つめられる中、夜神の大きな手がオレの寝間着の裾をたくしあげていった。
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