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何事にも発端、というものはある。
それが、オレが学科と必修クラスが同じの女の子にこんなことを訊かれた時だった。
「如月くん、今朝すっごいかっこいい男の人と歩いてたよね!?」
目をキラキラ(いやギラギラか?)させながらそう訊ねてきたのは、半井 美咲(ナカライ ミサキ)さん。
オレは無難に半井さんと呼んでいる。
「茶髪で背が高くて、吊り目の人! 今日一緒に大学来てたよね? 私見かけたの!」
「は、ぁ…」
「ねぇ、誰!?」
オレの席の前列に腰かけた彼女は、身を乗り出してオレに迫る。
…正直、引きます。
「えーと…」
あんまり答えたくないんだけどなぁ。
女子がこういうテンションでこんなこと訊いてくるのって大抵何が目的なのか察しがつく。
半井さんが指しているのは、十中八九、夜神のことだ。
オレと夜神が今のような関係じゃなければ、『イケメンは得だよな!』で終わってた。
…でも…
「…まぁ、高校からの友人、かな。」
まさか『オレの恋人です。』とは言い出せず、歯切れ悪くそう告げれば、
「紹介して!?」
そうなるよな、やっぱり。
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