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いっそ本当に夜神に会わせるか?
いや、そうしたらそうしたでオレが夜神に嫌われそう…
そんなのは嫌だ。
なら、のらりくらりと半井さんの攻撃をかわしていればいいんじゃないか?
オレが耐えればいいだけなんだから。
夜神に迷惑かけないようにするには、もうそれしかない気がする。
「───アキ、風呂お先。」
「!!」
背後から突然声をかけられ、文字通り飛び上がる。
「わ、かっ…」
ドキドキする心臓を宥めながら振り向くと、心臓が更に大きく跳ねた。
そこに立つ夜神は、下こそちゃんと穿いているものの、上の方は何も身に付けていなかった。
しっかりと引き締まった、男なら誰もが理想とするであろう体型。
やっぱりドキドキする。
さっきとは違う意味で。
───もう何度も目にしてきたのに。
「アキ。しんどいなら、暫くバイト止めてもいいぜ?」
夜神はオレの隣に座ると、唐突にそんなことを言った。
「え? なんで?」
「なんでって…周りが見えなくなるくらい、疲れてんだろ? 生活費の為とは言え、アキにしんどい思いしてまで金稼いでもらおうとは思ってねぇから。」
「それは…」
「コレ言ったら怒るかもしんねぇけど、アキは俺ほど体力ねぇんだから、無理してまで続けようなんて思うな。俺が頑張ればいい話だし。」
そんなこと───
そんなことを言わせる為に、半井さんのことを隠してるんじゃないのに。
心が引きちぎられそうな程の罪悪感。
「…ほんと、そんなんじゃない…」
聞き取れるか聞き取れないかのオレの呟きに、夜神は何も言わなかった。
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