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ーー
「如月君っ! いつになったら彼と会わせてくれるのっ?」
数日後。
なかなか予定を調整しないオレに遂に痺れを切らした半井さんが鼻息荒くオレを問い詰めてきた。
場所は大学の中で2番目に広い講堂。
講義が始まる10分程前に、先に席についていたオレを半井さんが目敏く見つけたのだ。
半井さんが夜神を見てから今まで、1ミリも諦めていないらしい。
「彼の都合に合わせるって言ったけどさぁ! このままだとずっと会えなさそうだし? もーこうなったら強硬手段取ってもいいよね?」
「き、強硬手段…?」
「そ! 如月君スマホ貸して!」
そう言って半井さんは、机に置いてあったオレのスマホを奪った。
そして何やら操作し始めた。
しまった。そういやオレのスマホ、ロックしてなかったんだ。
第三者にも簡単に中身を見られてしまう、なんともセキュリティの甘いオレのスマホ。
暫くオレのスマホを触っていた半井さんは、やがてドヤ顔でオレにスマホを見せてきた。
「送っちゃった!」
そう言って見せられたソレに、オレは絶句した。
『今日授業終わったら、外で食べないか?』
夜神宛に送られたLINEのメッセージ。
何、勝手なことしてるんだ、この人は───!?
あまりにも突拍子もない行動に、開いた口が塞がらない。
更に運の悪いことに───既読のマークがついた。
夜神が、読んでしまった。
いや、どう足掻いてもいずれは見られてしまうけれど。
『珍しいな、アンタから誘ってくんの。』
「わっ、返事きた! ね、如月君あとはよろしくっ」
「えぇっ!?」
いきなりの選手交代。
あんまりだ。
横暴すぎだろ、コレ。
けれど送ってしまったものは仕方ない。
『たまにはいいと思ったんだよ。』
『明日雪でも降るんじゃねぇの。』
『うるさいな。とにかく行くからな。』
『アキがそこまで言うなら。』
『嫌ならいい。』
『なワケねぇだろ。楽しみにしてる。』
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