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待ち合わせ場所に現れた夜神は、半井さんを見るなりものすごく不審そうに顔を歪めた。
事情を説明すると、夜神の表情は険悪なソレへと変わった。
不機嫌さを隠そうともしない。
それに気づかない半井さんは、ひたすらテンションだだ上がりで夜神に話しかけている。
あそこまで顔に出てるんだから、普通は気づきそうなものなのに……半井さん、恐るべし。
食事は大学の近くのファミレスにしようということになり、早速3人で入る。
テーブル席に案内された後も、変わらず超不機嫌な夜神。
その隣に、半ば強引に半井さんが腰かける。
そして向かい側には、オレ。
さりげなく夜神に密着しようとする半井さんに、胸がチクリと痛んだ。
「何頼もっかー? 夜神君は何食べたい?」
「……………別に何でもいい。」
ウキウキな半井さんに対し、ひたすら無愛想な男だ。
オレも目の前に広げられたメニューに集中する。…フリをした。
さっきから向かい側に座る夜神の氷点下の視線が突き刺さってくるからだ。
「あ、コレ美味しそうだよね!」
そう言って半井さんは身を乗り出すようにしてメニューを指差す。
…半井さんの身体が───胸が、夜神の腕に密着する。
「───…」
居たたまれない。
夜神の、責めるような視線がつらい。
オレが悪いのだから尚更。
「オレ………トイレ行ってくる。2人で決めてて。」
そう言ってオレは鞄を手に席を立った。
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