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夜神はオレの手をのけると、そのままオレの手首をギュッと握りしめた。
「いっ…」
「………」
ものすごく強い力だ。
「夜神、痛いっ」
「………」
「夜神…!」
あまりの強さに、痛みに、オレがどれだけ訴えても夜神は力を緩めようとしない。
その力の強さは、多分…怒りの大きさだ。
「このまま…」
「え…?」
「このままアンタの骨がぐしゃぐしゃになるくらい、握り潰してやろうか。」
そのおぞましい言葉に、息をするのも忘れそうになる。
今まで夜神はオレに対して怒りを向けることはあったが、こんな暴言を吐かれることはなかった。
こんな───本気でオレを傷つける意図を以て言われたのは。
「はな…離せよ…」
「離してやったら、どうする?」
「は…?」
「離したら、アンタは俺とあの馬鹿女置いて逃げんのか?」
多分オレが何を言っても、今の夜神には通用しない。
───そうするしかない、じゃないか。
もうコイツに何を言っても、どう弁解しても、響かない気がする。
怖い。
オレがどんな言葉を発しても、夜神の逆鱗に触れそうで怖い。
「アキ。黙ってないで何とか言え。」
「…仕方ないだろ。」
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