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鞄をひっつかみ、トイレを飛び出した。
「アキ!」
夜神が呼ぶ声がした。
それすら無視して、オレはファミレスを出た。
殴られた左頬が痛い。
強く掴まれた手首も痛い。
…胸も痛い。
泣きたかった。
そんな気持ちに呼応するように、目頭が熱くなり、涙が滲んできた。
だけど人が行き交う街中でみっともなく号泣するワケにもいかず、オレは溢れてくる涙をゴシゴシ拭いながらひたすら歩いた。
「…ただいま…」
なんて言っても、出迎えてくれる人はいないに決まってる。
結局辿り着いたのは今の住まいなワケで。
夜神はファミレスに半井さんと一緒に置いてきてしまったから、当然家には誰もいなかった。
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