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───本当に、もうダメかもしれない。
今度こそ夜神に愛想を尽かされたかもしれない。
『只今電話に出られません。ピーッという合図の後に、30秒以内でメッセージをどうぞ。』
「夜神───聞いてるか?」
声が震える。
夜神はこれを聞いてくれないかもしれない。
聞いてくれたとしても、どう思うか。
すごく怖かった。
「こないだのこと、ホントに悪かったと思ってる。反省してもしきれない。すごく後悔してる。
…帰ってきてほしい。この家に。オレと顔合わせたくないなら、オレが出てくから。夜神は、ここに帰ってきてほしい。ここはお前の家で、お前の帰るべき場所だ。」
本当は、こんなこと言いたくなかった。
でも、これしか言えない。
口下手なオレには、こんな言葉でしか、お前が大切だってことを伝えられない。
「夜神、好きだ。すごく好きだ。」
もう一度、ピーッという音が鳴り響く。
タイムリミットだ。
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