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電話をかけて、10秒もしないうちに夜神が出た。
『アキ、アンタ今どこにいるんだ!?』
焦がれていた大好きな声が、身体中に浸透していく。
ああ───オレ、こんなにも、夜神のことが好きだ。
離れるとか、絶対無理。
夜神がオレに完全に愛想を尽かせたなら…オレはおとなしく夜神から離れようと覚悟していたのに。
夜神の声を聞いただけで、その覚悟が脆く崩れ去った。
『アキ、返事しろ…どこにいる?』
覚悟、なんてできてるワケねーじゃん。
夜神を好きになった時点で、そんな覚悟する度胸なんてなかったんだよ。
離れたくない。
離したくない。
誰にも譲れない。
夜神の傍にいるのは、オレだけでいい。
…そっか。そうじゃん。
半井さん、ゴメン。
やっぱり、夜神渡せない。
『アキ、頼むから……帰ってきてくれ。』
オレ、半井さんよりずっと、遥かに、夜神のことが好きだよ。
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