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「夜神…」
『! アキ!』
やっとの思いで出た声は、やっぱり震えていた。
夜神と話すのに、こんなにまで緊張を感じたことがあっただろうか。
…多分、ないな。
「夜神───」
『アキ、悪かった。』
謝られた。
いや、なんで夜神が謝るんだ?
謝るのはオレの方だろ?
『俺は、あろうことか、アンタを殴った…』
「!」
『一番手ェ出しちゃなんねぇのに…アンタだけは、絶対、何があっても殴らねぇって、殴るワケねぇって思ってたのに───』
「夜神…」
『取り返しのつかねぇことをした自覚はある。だから───』
「夜神っ!」
珍しく焦って矢継ぎ早に喋る夜神を無理矢理制する。
ていうかコイツ、オレがアパートを出ていった原因が、夜神に頬を殴られたせいだと思ってる?
夜神がオレと顔を合わせたくないだろうと思ったから、オレは出てきたのに。
今回は、どう考えてもオレの方が悪いのに、もしかして夜神はずっと自分を責めていたのか。
頭に血が上っていたとは言え、オレを殴ってしまったという、ただそれだけの事実の為に。
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