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2、3日ぶりだろうか。
たったそれだけ、会わなかっただけで、もう目の前の男の姿に懐かしさを覚えている。
「夜神───」
「アキっ…」
オレが何かを言う前に、あっという間に抱きすくめられた。
たった2日。
されど2日。
いつも一緒にいたから。
当たり前のように、一緒に。
…だから、抱きしめられて、ほぼ反射的に涙腺が緩むほど、オレの中でコイツがなくてはならない存在になっていたなんて知らなかった。
「アキ、悪かった。殴ったりして。勝手にいなくなったりして。」
「うん…」
「あの時、女と引き合わされて、問い質そうにもはぐらかされて、その上キスまで拒否られて、正直どうしていいかわからなかった。アンタにあんなこと言われて、頭に血ィ上って…もう、頭ん中ぐちゃぐちゃだった。だから一旦頭冷やすつもりで、………実家帰ってた。」
……………
…………………ん?
「実家?」
「ああ。」
「実家って、広島の? 親父さんたちがいる?」
「そうだ。」
マジかよ!
広島って、結構遠いよな?
そりゃ、まぁ、このアパート以外に帰れるトコって言えば実家ぐらいなものだけど…………それにしたって、まさか広島まで帰るとは。
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