同棲始めました。

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「お前、間違っても犯罪者にはなるなよ。」 冗談めかしてオレが言った言葉に、夜神はフッと笑った。 「さぁな? それはアキ次第なんじゃねぇの?」 「なんでだよ。おかしいだろ。」 「アキが俺以外の奴にフラフラしなけりゃ大丈夫だ。」 「フラフラって、人を尻軽みたいに言うな。」 何コレ。オレって実は信用ない? ちょっと悲しい。 夜神はギュッとオレの身体を抱きしめると、首もとに鼻をすり寄せた。 くすぐったいその感触に、思わず身動ぎする。 「…まぁ、アンタにも交友関係とかあるだろうし? 誰かと話してるだけでキレたりはしねぇよ、流石に。」 「そりゃ助かるな。」 「“ここ”でなら、アンタは俺だけのモンだからな。」 そんな甘い言葉を投げつけてくる。 それだけで、心臓がバクバクと暴れだすんだ。 「お前ってホント、オレのこと好きなんだな。」 照れるせいで、ついそんな憎まれ口を叩いてしまう。 「そんなん、今に始まったことじゃねぇだろ。」 「………」 そうだよな。 お前は最初からそうだった。 オレへの好意を1ミリも隠さなかった。 まっすぐにオレだけを想っていた。 「俺をここまで惚れさせたんだ。だから最後まで責任取れよ。」 恋人から発せられる文句は、極上に甘いのだ。 甘くて、熱くて─── 「そのセリフ、そのままお前に返してやる。」 最高に、愛しい。
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