五月雨の中の恋心

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村雨さんは私にタオルを渡すと、隣の休憩室で何やら作業を始めた。 冷やされたタオルを目にそっと当てれば瞼に冷たさが伝わって心地いい。 目は一番疎かにされていると誰かが言っていた。 美容のために顔にパックをしても目はケアが怠るところだと。 紫外線を受けて、1日中物を見て、おまけに私は泣いた。 疲労が吸い取られるみたい。 「水瀬さん甘いものは好き?」 戻ってきた彼は手にお皿を持ってやってきた。 お皿にはケーキが乗っていた。 「すきです…」 「そう、よかった」 安堵のため息を漏らして、微笑んだその顔は相手も笑顔にさせる力があるかもしれないと思った。 村雨さんは隣に座って、私の目の前にケーキの乗ったお皿を置いた。 「あ、の…」 「お腹空いてない?たくさん泣いたと思ったから、糖分補給も兼ねて、召し上がれ」 「私に…?」 「君以外に誰がいるの?」 そんな驚いた顔されても… 本当に食べていいのか考えているうちに、彼の目は食べてと訴えているようだったから、大人しくいただくことにした。 「い、ただきます…」 「うん」
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