五月雨の中の恋心

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ケーキを一口頬張れば、甘さが口いっぱいに広がった。 私はこの味を知っている。 「これ、もしかして…」 「colorful paletteのショートケーキ」 「やっぱり…!」 「水瀬さんここのショートケーキすきでしょ?」 「はい。………え?」 どうして知ってるの? 不思議に思えて彼を見ると、ふふっと笑って話してくれた。 「俺、colorful paletteでバイトしてるんだ。水瀬さんうちの店よく来るでしょ?ショートケーキばっかり注文してるから、よほど気に入ってるんだなって」 村雨さんは、私の注文も受けたことが何度かあったらしい。 私、顔すら認識してないなんてっ! 本当に失礼すぎる! でも、本当に今日まで純しか見てなくて、このケーキも純はいつも買ってきてくれた。 どうして、今ここにいるのが純じゃないの? そう思ったら、また目の奥が熱くなってきた。
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