第4章 ハピネス

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「すいません、ありがとうございます!」 「ママ!」 「もーちゃんと一緒にいてって言ったのに」 困った子ね、そういいながらもやはり泣き止んでいることに驚いたのか頭をぐしゃっと撫でて手をつなぐ。 そして別れ際に男の子は一点を見つめて、笑奈に向かって指をさした。 「こら、ダメでしょ指でさしちゃ」 「ママ、お腹に赤ちゃんいる」 「「え?」」 さすがに母親も笑奈もびっくりしたのか声が重なった。 「そうなんですか?」 母親がそう聞くが、笑奈の答えは決まってNOだ。 「そうなんですね。もしかしたらもういるかもしれませんね?」 笑みを浮かべながらそう言われ、笑奈の心境が気になった。 一番今気にしていることを言われてどんな気持ちになっただろう。 親子はありがとうございましたと言ってレジの方に向かっていった。 俺は親子を見つめる笑奈に歩み寄る。
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