第一章 ポットン便所

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あの時を思い返すと今でも冷や汗が出る!  その話は私がまだピカピカのランドセルを背負った頃の話だ。 四国の片田舎にある私の家の便所は汲み取り式のポットン便所だった。     一畳足らずの高床式の便所で板敷きの中央には縦30㎝長さ50㎝ほどの穴があり、 穴の先端に板の取っ手が付いている。 下は巨大な便壺で夏の暑い日には、 便壺の壁をはって蛆虫がぞろぞろと這い出る事もあった。 そんな時は、蛆を一匹ずっ厚紙で救い上げ便壺に戻すと便所の隅にある透明の瓶に入った乳白色の蛆殺しの蓋を開けドボドボと垂らしたものである。 トイレットペーパーはまだ巷には出まわってない時代で尻ふきはもっぱら目の洗い四角いちり紙か四角く切った新聞紙だった。 新聞紙はそのままでは、 尻に痛いので、 一度くしゃくしゃに丸めた後、 広げて使ったものである。
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