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「はぁ……」
木曜日に奴と別れた時、もうこのまま会わなくなるかも……って思ってたら、予想が見事に当たった。
次の日の金曜、放課後のいつもの時間に校門を通ったけど、あいつの姿は無かった。
目立つ容姿のあいつが連日オレが出てくるのを待って、一緒に帰ってる姿を見て、仲良しに見えてたのか、奴に群がってた女子から、お陰さまで質問攻撃にあった。
けど、オレだって、理由は知らないのだから、そんな彼女達には『知らない』の一言で押し切った。
口止めされてる訳じゃない。本当に知らないんだ。
あいつがなんで、毎日待ってたか。
そして、何で来なくなったのか。
そもそも、オレはあいつの名前すら知らない。
今になって、あいつの何も知らなかったんだなと思う。
そもそも、聞く気がなかったからだけど……。
「はぁ……」
待ってる事を期待してた訳じゃない。
けど……、昨日の帰りが、あまりにもスッキリとしないものだったから、少しだけ気になっていた。
****
土日があっという間に過ぎて、月曜になった。
放課後になって、校門を前にすれば、先週は毎日の様に見ていた、女子の集団はいない。
それもその筈。
中心に居た、あのイケメン君が居ないからだ。
あいつはもう来ないだろうから、二度とあの光景を見ることはないだろう。
それはそれで、なんだか勿体ない気もした。
記念に女子集団の写真を1枚、撮っておけば良かったかも。
なんて思いながら、校門を通り過ぎる。
校門を出た所で、2~3人にまた、あいつの事を聞かれたけど、先週同様『知らない』とだけ告げて、学校を後にした。
金曜に比べたら、聞いてくる数は極端に減ったけど……しばらくは、あいつのこと聞かれるかもしれないな……。
そう思うと、はぁ……と小さくため息をついた。
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