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「好きなんだけど……話、聞いてくれるかな?」
何だ、こいつ?
それが、最初に思った事。
「はぁ…?」
だから、思わずそんな言葉が口から漏れてしまった。
だって、普通に考えて可笑しい。
オレは、お前の名前も顔も知らないし、今軽く告白されたけど……これが初対面だろう?
それなのに、何で告白とか出来るわけ!? そんなの、話を聞くほうが馬鹿げてる。
「だから、好きなんだ。話、聞いて欲しいんだけど……」
「聞きたくありません」
だから、思ったままを口にする。
正直言って、キモイ。
男が男の事を好きになるとか、初対面で告白してくる所とか、何か……とりあえず、こいつの全部がだ。
それに、何だよ、そのダサダサ眼鏡。前髪も鬱陶しい位伸びててもっさりしてるし……。
こんなヤツに好かれても、嬉しくもなんともないんだけど?
「そんな……あの、ちょっとだけでも……」
その上シツコイと来た。ほんと、何なんだよ、コイツ……!
「だから、オレはあんたと話す事なんて無い。大体、初対面で告白されてもオレの返事は決まってるよ。何といわれても、答えはノーですから」
だんだんイライラしてきて、少しキツメの口調で、ハッキリと相手に伝える。
だって、そうじゃないと、後々面倒でしょ?
「あ、ごめん。いきなり告白した事は謝る。けど……仲良くしたい」
何それ? 何でそうなる訳?
「オレは仲良くしたくないです」
こんな、訳の分からないヤツに付き合ってられる程、オレは暇じゃない。
だから、それだけ言い捨てると、止めてた足を再び進める。
「あ、待って。じゃあ、どうしたら君と仲良くなれる?」
こんなあからさまな態度取られて、まだめげないこいつに、呆れるを通り越して、違った意味で尊敬してしまう。
「じゃあ、とりあえず……1ヶ月はオレの前に姿を現さないでくれ。後……そのダサイ眼鏡と、髪の毛、どうにかしてくれ」
とりあえず、言いたい事は言い切った。今のところはこれでいい。
こいつも……こんな馬鹿らしいこと、素直に守るとも思えないし、これで一件落着ってやつ?
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