【2】

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「……」 相変わらず、詐欺だと思う。 ダサい眼鏡を取り、髪の毛をスッキリさせただけで、こんなにも美形な男に変身するとは……あの約束をした時は、思ってなかったんだ。 1ヶ月後――こうして、すっかり変身した男が、オレの前に現れて、再び話を聞いて欲しいと言ってきたけど、オレはまたしてもそれを断った。 不覚にも、現れた時は彼の美形についつい見惚れてしまってたんだけど、告白の続きなんて聞ける訳も無く、それに容姿が変わったからって態度を変えるのもちょっと嫌だなと思ったから。 そうしたら……何故かあいつは、毎日校門の所で待ち伏せする様になった。 勘弁してくれよ……。 と思いながらも、呼びかけに答えず、奴の前を素通りしてやった。 「ちょっと!」 すると、その声と共に追ってくる。 「何?」 「つれないなぁ。君が出てくるのを待ってたんだからさ、一緒に帰ろうよ」 こっちからは、願い下げだ。 誰が、素性もはっきりしない奴と一緒に帰るかよ。 「お断りします。毎日来られても同じだから、明日から来なくていいですよ」 最初はこの顔に怯みはしたが、こうも毎日顔をあわせれば、免疫も出てくるものだ。 だから、今は容姿が変わっても、以前と変わらずキツめの言葉を浴びせる事が出来る。 「どうしてそういう事言うかな? 悲しいね」 悲しいのはこっちの方だ。 全く……何が悲しくて、オレよりモテる男に追いかけられなきゃならないんだ? 「てか、明らかに方向違うんでしょ? じゃあ、ここでお別れって事で」 こいつと出会うきっかけになった、公園近くの道に来た所で、そう言って手を振る。 「あ……ダメだよ。今日で3日目だし、今日こそちゃんと話をしよう」 ここ数日間、同じ事を繰り返していたからか、奴もオレの行動が読めてる様だ。 ここからは走って奴を振り切ろうとした瞬間、腕を掴まれ、動きを止められた。 「話す事なんて、無いじゃん」 「俺、君と仲良くなりたいって言ったでしょ」 「意味わかんないんですけど。なんでオレ?」 「なんでか、気になる……?」 「……」 適当にあしらうつもりだったのに、気付けば奴のペースに乗せられてる気がして、一旦黙った。
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