【3】

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「何の、冗談……だよ」 まだ……奴の顔にはダサダサ眼鏡が張り付いていたけど……とても、顔を見て話す気になれなかったので、目線を逸らしながら喋った。 どういう訳か、急に目の前の人間が怖くなってきた。 こんな奴、知らない。 さっきまで、呑気な口調で喋ってたのに……。 こんな奴、知らない。 オレが何しても、ニッコリ笑ってたじゃないか。 こんな奴、知らない。 こんな奴、知らない。 こんな奴、知らない。 「ふっ……聖、可愛い。じゃあ、そんな聖の可愛さに免じて……1つだけ、教えてあげる」 「なっ……」 クスッと笑いながら言われた口調は、バカにしてる様に感じた。 だから、即座に反撃しようとして視線を向ければ、思ってたよりも奴との顔の近さを感じて、心臓が跳ね上がる。 「お、おま……な、なに……」 こんなにも人と接近したことが無かったオレは、おもむろに動揺してしまった。 その様子が面白かったのだろう。奴がいつもの様にまた、笑った。 さっきと同じく、バカにされた事にムカついてるのに、胸のドキドキが治まらなくて……困ってしまう。 「聖、あのね……。俺はまだ、素顔を見せてないから」 「え?」 その声と共に、仁木はくっつけてたおでこを離し、同時にオレの頬を包んでた両手も離した。 けど、謎掛けの様な言葉を言われて、オレは全く理解出来ずに固まった。
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