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昼間は騒がしいグラウンド横の並木道を歩いていく。
殺人予告があった学校なのだから、巡観する人がいてもいいはずなのだが、全くそんな気配はなかった。
学校の敷地を出てからふと空を見上げてみる。
「曇ってきたな…」
やっぱりこんな日に呑気に天体観測をしようとするのが間違いなのだ。
頬に空からの雫が落ちた。
「雨…最悪」
途端に大降りになり、雨具を持ってこようなんて頭のなかった俺はずぶ濡れになった。
「とにかく帰ろう」
真っ暗な上に雨のせいで視界が悪い。
パーカーのフードを被り、寮に向かって走りだした。
「こんな日に雨とはね。」
低く落ち着いた男の声が聞こえた。
「無事だといいんですが。」
とっさに別館の裏に隠れた。どうやら警備員と学園長が巡観しているらしい。ただでさえまずいのに、こんな日に抜け出したのがバレたら余計にまずい。
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