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携帯の画面に映っていたのは…
「梨沙」という見知らぬ女からのメールだった。
どんなに考えても梨沙という名前の女など記憶にない。ましてや、高校以来彼女のいない西田なら尚更思い当たらない。
「工藤のやつ、勝手なことを…」
女たらしで有名な同じ大学の友である工藤が勝手に自分のアドレスをその梨沙ちゃんとやらに教えたのだろう。西田はそう思い、工藤に電話をかけた。
「おい、工藤」
「なんだよ。西田。何かあったのか?」
「お前、女の子に俺のアドレス教えただろ」
「は?」
「今、梨沙って子からメールきた」
「教えてねーし。誰だよ。梨沙って」
工藤の声がだんだんと苛立ってくるのがわかる。
こいつじゃないとすれば、何故?西田の謎は深まるばかりだった。
「ごめん工藤。勘違いだったわ。」
「ちょっ…」
工藤のことなど考えずに電話を切る。
梨沙…りさ……
「あぁ!わかんない。そういえば、内容見てなかったな。」
女の子からのメールと言うだけで、内容も見ずに慌てていた自分が恥ずかしい。
メールを開くと、
ずっとあなたのことが気になっていたんです。
突然すみません。良かったらメル友から始めてくれますか?
梨沙
そう書いてあった。
これは、告白?告白…なのか?メル友からって今の時代、トークアプリなんていくらでもあるのに。
にしても急ではないか?
西田の頭は混乱状態に陥ってしまった。
色恋沙汰など皆無の西田にとっては一世一代の彼女ができるチャンスなのだ。もし告白なら逃すわけにはいかない。
俺でよかったら。
とっさに、そう返信した。
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