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人の目がないことを確認して裏門から出ると馬の速度が跳ね上がる。
『うわっ』
タカノリは振るい落とされないようにバランスを取った。
『重心を真ん中に置くように。背筋は伸ばして…』
そう声を掛けてくるジーナのアドバイスは的確で、なんとなくだがタカノリはコツを掴んでいた。ジーナが手綱を操ると馬は山を駆け上がっていた。
『こんな所も走れるもんなの?』
『普通の子は無理かも。でもこの子は山を走るのが好きなの。あんな狭い所にいたら息が詰まるよね』
ジーナは言いながら馬の首に抱きついた。少し走ると王宮を見下ろせる丘に辿り着いた。その場所から広がる荒野を見渡したタカノリ言葉を失った。
『嘘だろ…』
荒野はオーガの大群で埋め尽くされそうになっていた。黒く蠢く大群が王宮に向かって進んでいく。
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