第6章

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メンディーはその手を掴むと力を入れる。が、ネスミスの力はどんどんと強くなっていく。メンディーも負けじと彼の手を握り返した。 『なかなかやるな』 ネスミスはふっと笑うと手を離し、メンディーの肩をバンと叩いた。 『あの、ネスミスさん。やるなら早くお願いします』 タイキは薬草を塗りかけの自分の手に目をやって情けない顔をしていた。 『そんなに痛いなら癒しの魔法をかけようか?』 見兼ねたようにアランが言うとタイキの顔がぱっと明るくなった。しかしそれを制したのはケンチの言葉だった。 『余計なことをするな。この傷は鍛錬でできたもの。その痛みを魔法で消せば、こやつの鍛錬が意味をなくす』 ケンチの言葉はとても厳しいもの。だが皆その言葉の意味を誰よりも理解していた。 『そうだ。痛みを知らぬ者は強くなれぬ。真の強さとは痛みを乗り越えて初めて己のものとなるのだ』 ネスミスの言葉を聞いたタイキは 『お願いします!』 そう叫んでぐっと奥歯を噛んだ。ネスミスはもう一度タイキの手を取ると薬草を塗り込む。だがタイキは歯を食いしばり、その痛みを堪えた。
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