第6章

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気づけば先程まで同じように声を上げていたセカイも歯を食いしばり痛みを堪えている。 彼らは苦しいオーデションを耐え、EXILEに加入した新メンバー。過酷ともいえるレッスンを乗り越えてきた彼らには二人の言葉は痛いほどよく分かるものだった。 その苦しさが自分を支える糧となることを彼らは誰よりもよく知っているからだ。 薬草を塗り込んだネスミスは必死に耐えるタイキの頭をそっと撫でると 『よく我慢したな』 と優しい言葉を掛けていた。同じようにケンチもセカイの肩をぽんと叩いた。言葉はないが口許を緩めているケンチの姿を見てセカイの瞳に涙が浮かぶ。 『ナオキ、後は頼むぞ』 ケンチとネスミスはそう言い残し部屋を出て行った。ナオキは二人の姿を見送ると三人の手に布を巻いていく。 『ネスミス様の薬草はよく効く。明日には傷も癒えるだろう』 『ありがとうございます』 三人が揃って頭を下げる。それを見て部屋を出ていこうとしたナオキをメンディーが呼び止めた。
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