第6章

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『ナオキさん、実は聞いてほしいことがあって…』 『わたしに?』 『みんなにも…』 メンディーはそう言うと全員の顔を見回した。アランは思い当たることがあるようで、彼をじっと見つめていた。その視線に気づいたメンディーがゆっくりと頷くと、アランも同じように頷いた。 中央にあるソファーに全員が腰を下ろすとメンディーはちらりとアランを一瞥する。するとアランが口を開く。 『まずは俺から話がある』 アランは大きく息を吐いてみんなの顔を見ると 『俺の中にはもうタカヒロさんの魔力の波動は残っていない。俺がこれ以上魔力を解放してもタカヒロさんにはなんの変化もないと思う』 そうきっぱりと言い切った。 『え?』 『…』 戸惑いが皆の顔に浮かぶ。タカヒロが魔力を取り戻すために必要なのはアランの魔力だと誰も信じて疑わなかった。だからそれ以外の手立てなど誰にも思い浮かばないのだ。 『じゃ、どうすればタカヒロさんは…』 『アツシさんが言ってたんだけど、太陽の剣を包んでいる結晶はタカヒロさんの魔力が結晶化したものらしいんだ』 『じゃあ…』 アランは黙って頷いた。
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