第6章

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『ご心配をおかけしました』 タカヒロが申し訳なさそうな声で呟くと 『全くだ。お前が眠っていたおかげで王宮がどれだけ静かだったか』 『俺は心配などしておらなかったぞ』 『それは嘘だな』 『心配していない者が毎日顔を見に行くか?』 『それはだな…』 四王が言い合いをしていると静かな声が響く。 『タカヒロ』 『キング…』 『役目ご苦労であった。お前が呼び寄せた勇者たちがこの世界に太陽を取り戻してくれた』 タカヒロは寝台から降りるとキングの前に跪く。そしてその顔を見上げ眩しい程の笑顔を見せた。 『王族としての役目を果たすことができ安堵しております』 『ケイジにも安堵させてやるがよい』 キングはそう言うと涙を堪え俯くケイジに視線を向ける。タカヒロは立ち上るとケイジに向かって歩いて行った。 『ケイジ、約束通りこの世界を守ってくれたな』 『タカヒロ様…』 ケイジはその場に膝をついて涙を零す。タカヒロはそんな彼を優しく抱き締めた。ケイジが涙を拭うとタカヒロは他の王たちに目を向けた。
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