第6章

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キングが剣を下げるとアツシが言った。 『キング、お力は戻られたようですね』 『ああ。力は完全に戻った』 キングは玉座へと移動していく。ゆっくり進むその姿から皆目を逸らすことができない。玉座の前に立ったキングは皆の顔を見つめていく。そして右手を前に出すと声を張り上げた。 『皆、戦いのときが来た。皆の命、わたしに預けてくれるか』 おーーーーー 王たちはキングと同じように右手を天に突きあげ声を張り上げた。彼らはこの世界のために、最後の戦いに向かう覚悟でいる。次第に彼らの声が治まるとキングは勇者たちに視線を向けた。 『勇者たち、お前たちは無理して戦うことはない』 『いえ、俺たちも戦います』 キングの言葉に真っ先に答えたのはタイキだった。彼は今決意を込めた瞳をキングに向けている。 『逞しくなったものだ』 その姿にマツが呟いていた。 『俺たちに出来ることはやらせてください。俺たちの世界にいるあなたたちから教わったことですから…』 セカイも意志のこもった言葉を紡ぐ。それを聞いてウサは嬉しそうに微笑んでいた。
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