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『じゃ、アランは俺が連れて行くぞ』
いきなり声がしてテツヤが顔を覗かせた。テツヤはアランの背後から彼の首元に腕を回す。
『テ、テツヤさん』
アランが驚いて声を上げたその時だった。少女の可愛らしい声が廊下に響いた。
『勇者様』
皆が目を向けるとジーナが走ってくるところだった。
『ジーナ』
タカノリは嬉しそうに彼女に駆け寄っていく。すると王たちはその場に膝をついていた。
『え?』
タイキが驚いて目を見張る。その様子にテツヤが視線を落としたままで言った。
『彼女はテシ族長老の後継者。俺たちよりも位は上なんだ』
テツヤの説明に皆は顔を見合わせた。だが少し離れてジーナと向かい合っているタカノリは気付いていない様子だった。
『勇者様、あの…』
ジーナは少し言いにくそうに俯いている。タカノリは口許を緩めて彼女に言った。
『馬に会いに行きたいの?』
ジーナが顔を上げて頷くとタカノリは彼女の頭に手を置いて優しく微笑んだ。
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