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『ネスミスさん、ケンチさん。俺、後から行きます』
振り返ってそう言ったタカノリは膝をつく三人に驚いていた。
『了解いたしました。ですが決して王宮の外には出られませぬように…』
タカノリは頷きでその言葉に応えるとジーナの手を握る。ジーナは照れたように微笑んでタカノリを見つめていた。
タカノリはジーナと手を繋いだまま螺旋の階段を下っていった。そして外に出ると厩舎へと向かう。
厩舎には何頭もの馬がいる。二人が入って来たことに気付いて耳をそばだてる馬もいれば、ちらりと視線を向けただけで草を噛んでいる馬もいる。
『あ!』
ジーナがかの馬を見つけ声を上げた。その声は喜びに溢れている。馬の方もジーナの姿に気付いたようで一際大きく鼻を鳴らした。
馬は嬉しそうにジーナに鼻を近づけ、彼女はそれに応えるように馬の鼻先を撫でていた。
『…』
タカノリには聞こえないがジーナは馬に向かって一言二言囁いている。
『走りたいよね…』
小さく呟くジーナ。その声は寂しさを含んでいるように聞こえた。
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