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『太陽から伸びたる手によって大地が裂ける。そして悪しき黒き群れを飲み込むだろう…』
『え?』
ジーナの声はあどけない少女の声ではなかった。その声はまるで神の御使いからもたらされるような、凛とした神聖さを秘めているようだとタカノリは思った。
『ジーナ』
タカノリが呼びかけるとジーナの頭が揺れ、彼の体にもたれかかってくる。
『ジーナ?』
もう一度呼びかけても彼女はぐったりとして返事はない。ジーナは意識を失っていた。タカノリは馬の首を撫でて呟いた。
『急いで王宮へ戻ってくれ』
タカノリの言葉に応えるように、馬は嘶きを上げ勢いよく山肌を駆け降りていった。
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