序章

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『終わったねー』 『いやー、緊張した』 五人の若者たちが部屋に入ると同時に安堵の声を上げた。今、まさに彼らは初の仕事を終えたばかりだった。 『こんな衣装、着たことないや』 『でも、けっこう軽いんだね』 『本当の鎧みたいに見えるのに…』 彼らはEXILEの新メンバーに選ばれた五人。今日は彼らが初めて参加する新曲のMVの撮影日だった。 彼らは揃いの黒い鎧を身に着けていた。現行メンバーたちは銀の鎧。その姿はまるで本当の戦士そのもので、彼らは羨望の眼差しで見つめていた。 『これ,脱ぐのも大変そうだよ』 そう言ったのは一番華奢なタイキ。 『でも先輩たちは様になってたよね。俺ら、着られてる感じ…』 『言えてる』 タカノリとセカイが笑い合っていると、アランがもう一人の肩を叩く。 『メンディーは先輩たちに負けてなかったね』 肩を叩かれた一番精悍な体つきの男が振り返った。照れくさそうに頭を掻くその姿は、その立派な体格に不似合いなものであった。 『そろそろ脱ぐ?』 タカノリが言うと、みんなが顔を見合わせる。
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