第1章

3/40
前へ
/252ページ
次へ
そうだ、さっきまで一緒にいたアツシとは髪型が違う。それに彼のトレードマークであるサングラスをしていない。 メンディーは自分に向けられているその眼差しの鋭さに驚いていた。その瞳からは明らかな敵意を感じたからだ。 『何者だ?』 アツシは威厳のある声で問いかけた。しかしその声は冷たい。 『アツシさん、僕です』 メンディーが答えるとアツシは怪訝そうに眉をひそめた。 『何故、わたしの名を知っている?』 『え?だって…』 メンディーが一歩前に出た瞬間、アツシは素早い身のこなしで距離を取り、壁に掛けてあった剣を取った。 『アツシさん、僕ですよ。そんな物騒な物、しまってください』 メンディーは慌てて両手を体の前で振る。しかしアツシは構えた剣を下ろしはしなかった。 『この世界に瞳が漆黒の者などおらぬ。闇の魔物としか思えぬ』 『瞳が漆黒?あ、これか!』 メンディーは思い出したようにサングラスを外した。それを見たアツシが驚きの声を上げた。
/252ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加