倫ではないということ

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彼女が笑うたびに、女性らしいポニーテールが揺れる。 髪…伸びたんだな。 それもそうか。 「清美さんは本当に綺麗ですね!」 テレビの司会がデカミを絶賛する。 デカミは照れ臭そうにしながら「そんなことないですよ、もう36ですし…」 「えぇ~!!見えない!!」 テレビの中で驚きの声。 もちろん俺も驚いている。 こんなに綺麗な同級生がいるのかと。 しかもそれが、すぐそばにいた同級生なのかと。 「美の秘訣はなんですか?知りたいですぅ~」 女性アナウンサーが問いかけると、デカミは戸惑いながら答えた。 「美の秘訣…特にないですけど、あるとしたら…」 「あるとしたら?」 「中学のときの失恋ですかね」 俺は声にならない声をあげ、心臓が止まりそうなくらいに驚いてむせた。 中学のときって…まさか。
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