倫ではないということ

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「すごく優しい人で、私にハンバーグをくれたんです」 「ハンバーグ!?」 「私…当時、すごく太ってて…ふられたのもそれが原因なのかなって…」 「え…?え…!?」 話がのみこめない司会者。 俺は物凄く恥ずかしくなった。 「あの時がなかったら、今の私はいません」 デカミはカメラにすごく可愛らしい笑顔を向けた。 俺に言ってくれたのだろうか…。 聞いたぞ。俺は聞いたぞ、デカミ。 その夜、俺の興奮は収まらなかった。 あんなにデカい魚を逃がしたんだな俺は。 もしあの時。 俺がOKしてたら、今頃隣には…。 でも俺が断らなかったら、デカミは今もデカミのままだったのか…? いやいや、OKしても痩せる機会はあったんじゃないのか? 妄想が止まらなかった。 何度も何度も、彼女との過去や未来を思い返した。 もうありもしない愛を、必死に探した。
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