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【セトF系】
シリアス風味。
なかなかうまくいかないですね。
CPはあれだ、イメージはカルナツカルだと嬉しいけど、なかなか見れないからナツメ+カルくらいでいいと思います。
*****
ざぁざぁと強い雨が降る。
全身びしょびしょに濡れたまま、互いに背中を合わせて辺りを見る。
始めは些細な依頼だった。
とある盗賊団の壊滅、――罠だと知ったのはつい先ほど。
いつの間にか恨まれていて、それが募ってこの結果。
追われ、進んで、囲まれた。
影、気配を殺すも独特の音がざわり鳴る。
「やっべぇな。カル、怪我は?」
「……これくらいは、傷の内には入らないよ」
敵は群れ、反して此方の味方は2人。
雨のせいで視界は最悪、ナツメも“能力”を使えない。
咄嗟に避けきれなかった矢の雨、刃――傷はずきずきと痛む。
服の布地に、じわりにじんだ紅色。
眉を寄せたナツメは、がしりと己の頭をかく。
考えは、堂々巡り。
どれくらい経っただろう、やがて黒棒を掴まえたナツメは笑った。
それを見上げたカルは、見慣れた笑みにつられたように小さく笑んだ。
このまま消耗戦に持ち込まれれば、数が少ない此方が不利だ。
それなら、強行突破で駆け抜ける。
――窮鼠猫を噛む、追い詰められた獣は強い。
「背中は、任せて」
「おう!! 任せた!!!」
落雷の音を皮切りに、手負いの獣が地面を蹴った。
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