8人が本棚に入れています
本棚に追加
【セトF2】
ギルドには無事生還できたようです。
だがしかし、そこには修羅が待っていました。
*****
「で、どうしてそこまでボロボロになって帰ってくるのかな。無理するなって言われてたよね2人ともさぁ」
隠しきれない怒気を含んだ声が、ギルド“勇気の翼”の建物の一室から聞こえてくる。
ぐるぐるにまかれた包帯、ベッドの傍らに正座させられたナツメとカル。
どうにか帰り着いた彼らを出迎えたのは、焦るセツと笑顔のオグラだった。
「お、オグラくん。ナツメもカルも大けがしてるんだから、ほどほどに――」
「したいさ、僕も。でも、それじゃ、また無茶するでしょ2人とも。これで何回目だっけ?」
「……えっと、もう、両手で数えられないくらいには……うん。」
頼みのセツも口を閉ざす。
必要最低限の回復魔法はかけられているが、続きは説教が終わった後。
「だって、あそこで動いてなかったら絶対に――」
「言い訳しない」
「まだ、何か企んでた、みたいだっ――」
「カルくんも! 人にどれだけ心配をかけたのか、ちゃんと理解してる?」
口を尖らせたナツメと、視線を彷徨わせるカルへ、父直伝の“それはそれはいい笑顔”を向ける。
殆ど同時に2人の肩が跳ね、落ちたのは沈黙。
自業自得なのかもしれない、そう思い始めたセツを横目に、オグラは深い深いため息をついた。
説教はまだ、終わらない。
END
最初のコメントを投稿しよう!