3人が本棚に入れています
本棚に追加
「別に経済がどうこうってことを言いたいんじゃねえけどさ、内製はコスト的に有利な面もあるけど、組織の生産性に限界を作ることになりかねないの。一般的に言って外部への委託によって組織の生産性は上がる。組織内の分業とも違うんだ。内製は拡大の局面では分業を指向する。ゆえに組織は巨大化しつつも生産性は下がる。外部への委託は逆に組織は最小になる。が、生産性は無限大だ」
「山川、おまえ……」
「山ちゃん……」
浩人も里佳もあんぐりと口を開けていた。
「ああ、悪い。なんかそういうことを考えんのが好きなだけだ」
山川はばつが悪そうに首を振った。
「そういえばおまえ、大学出てからIT関係のベンチャーで働いてたなかったか?」
「え、そうだったの。大手のメーカーがどうこうとか言ってなかった?」
「ああ、ごめん。なんか悪かった。なんか焼くか?」
山川は頭をかきながら椅子から立ち上がり、炭火の前に立った。
「お、おう。おごりか?」
「貧乏人は今すぐ帰れ」
「あ、山ちゃん、あたし、ぼんじり焼いて」
「よろこんで」
「なんだよ、おい」
浩人がぼやいた。
最初のコメントを投稿しよう!