企画立案

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「あのな、特別養護老人ホームのジジババ相手に墓参りツアー企画すっだろ。で、そのツアーのバスの車内で墓石販売会社に墓石の説明させんだよ。あと休憩場所に墓石陳列してそこで説明やってもいい。墓石屋はわざわざ無料のツアーやってるぐらいだからな、里佳ちゃんの組んだ墓参りツアーで説明できるんだったら協賛ぐらいしてくれるわ」 「ん、ってことは?」 「だから、バスツアー企画の途中に墓石屋の販促を組み込んだら販促の一環として若干の費用もらえるんじゃねえのってこと」 「なるほどォ」  里佳と浩人の声が揃った。 「でも、車椅子のお年寄りばっかりだと乗り降りも大変じゃないですか?」 「ああ、最近は車椅子の昇降機の付いたバスがチャーターできるよ。その辺は里佳ちゃんのほうが詳しいんじゃないの?」 「そういえば、使ったことは無いけど聞いたことはあります」 「だろ?」 「すごい時代だなあ」  浩人は三国の商魂に感心していた。 「今は年寄りとどう暮らすかっていう時代なんだ。覚えとけよ、浩人」 「なんだかなあ」  父親がそこまで考えているとは。自分の不甲斐なさを反省する浩人であった。 「ところで、このチラシは?」 「ああ、それはな、チラシを置くだけでちっとばかり謝礼が貰えるってことだ。あと、チラシ持参でツアーに参加したお客さんが墓石の説明会に参加したら幾ら、墓石を買ったら幾らってこっちにキックバックがあんだな」 「よくできてるなあ」 「墓石屋もな、けっこう必死なんだよ。それだけやったってなっかなか売れるもんじゃねえからな」 「楽な商売なんてないんですね」  里佳が今日一日分の疲れをすべて吐き出すような大きくため息をついた。 「楽しようなんて思ってねえだろ」  里佳を見る目はどこまでもやさしかった。
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