第1章

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呼び止められて、振り返るとそこには『死神』がいた。 大きな鎌、黒いボロマント、そしてそのフードの下から覗く骸骨の顔。……『死神』という単語以外に当てはまる言葉がないくらいの格好をした奴が目の前に立っていた。 ハロウィンのコスプレにしては完成度が高過ぎるし、第一『そいつ』には『生』のオーラというものを感じなかった。 だが、不思議と怖くはなかった。逃げたいということもなかった。ただただ目の前にいる『そいつ』の存在自体が驚き過ぎて『俺』はアホ見たいに口を開けて立っていることしかできなかった。 そして、『そいつ』と目(ないけど)を合わせからきっかり30秒後、何の反応もない『俺』に対して痺れを切らしたのか『そいつ』が話しかけてきた。 「あのー、そんなに見つめないでもらえます?何か照れるんで」 男とも女とも、子供とも老人ともとれないような声が、やる気のない感じの口調とともに『俺』の脳内に響いた。
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