帝国での暮らし

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「クソッ、また外れかよ」 手元にある銀色のコインはもう残り100枚程度。最初は山ほどあったのに気付けば残り火、これが無くなったら今日はもう止めにするか。 ふと隣を見ると、俺の連れがまたもや当たりを出しており、その手元を見ると俺とは段違いな程の量のコインが置いてある。そして足元には1000枚入るコインケースに詰められた満杯のコイン。それが7つもある。 次々と飛び出てくるコインに、鮮やかな演出。羨ましいそうにそれを見つめるが流石にねだるのもあれなので諦めて残りのコインを投入していく。 そんな俺の心境が分かるはずもないこの場の雰囲気のせいで、余計にテンションが下がってくる。 学校帰りの学生、スーツ姿の大人、時間なら有り余ってるだろう老いた男。様々な人が集うここは帝都メテウスのとあるゲーセン。そこのメダルゲームコーナーだ。 そこで昼間から来ては夜までひたすらメダルを入れ続けるというのが最近のこの俺、ソル・ラトスの日常。ジャージ姿で毎日訪れては色々なゲームでコインを浪費して、金を浪費する。 典型的なダメ人間の様な生活をここ数日間繰り返している。 灰皿は既に3つが吸い殻で埋まり、俺は4箱目のタバコの封を切って新たなタバコに火を付ける。 いやぁ、当たらなさすぎてイライラするもんだからタバコの消費が早い早い。 連れではない反対側に居る高校生2人組でさえも少しは当たりを出してるのにも関わらず俺のところにはカスリもしない。
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