帝国での暮らし

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そしてついに訪れたノーコイン。いくら手元を探ってもそこにコインの感触は無い。ただひたすらに平らなコインの貯める場があるのみ。 「チッ、ついてねぇな」 「お前そのセリフ何度目だよ、本当メダルゲームはヘッタクソだよな!」 「うるせぇよ」 隣で俺をバカにしてくる銀髪の連れ、名前はカイル・バース。唇、瞼、鼻、舌にピアスを付けていて、見ているこっちが痛い気分になってくるという不思議な力の持ち主。 ここ数日間誘えば必ず来てくれる暇人の鏡とも言える存在。一応夜はホストとして働いてるらしいからニートという訳でもない。 むしろここで儲けてるから働かなくても生きていけそう気はする。生命力だけは無駄に高そうな奴だしな。 「それに昨日は勝ったんだからこれでプラマイゼロだ」 「勝ったって言っても数百枚じゃんか!今日はそれ以上に負けてんぞ、お前」 的確にイヤなところを突いてくるこいつの腹に拳を1発入れてやりたいが、流石に連れにそんな事をするクズ野郎にまで落ちぶれたつもりは毛頭無い。 えーと、ここのコインは確か1枚10ギルだから……今日だけで4万ギルのマイナスか……。 金には特に不自由していないとはいえ、金銭感覚が狂ってる訳でもないから落ち込むに決まってる。 「おっと、そろそろ時間だ」 「んじゃ帰るか」 カイルはいつも9時出勤だから大体このゲーセンを8時には出るようにしてる。今日もいつの間にかそんな時間になってたらしい。
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