帝国での暮らし

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「それじゃお疲れー!」 「おう、仕事頑張れよ」 いつもと変わらぬやり取りをゲーセンの前で交わしてカイルとお別れをする。 ちなみにカイルのコインは合計で8000枚強。8万ギル以上のプラス。俺のマイナス額の倍の儲けって事になる。まあ元金を引けば儲け額はもう少し少なくなるにはなるが。 「ハァ……」 帰ろう……。 周りを見渡すと、帝都の街の明かりはまだまだ消えていない。と言うより24時間暗くなる事はない。 けど俺の心の中は真っ暗闇。財布の中も暗黒に染め上げられている有様。残っている現金は精々数千円ってとこか。 また金下ろさないとな。 んでまたすぐにメダルゲームの餌食になるんだろう。そんなのは目に見えてる。 ここから家までは1駅分の距離、歩いて帰れる距離だから歩いて帰る。節約と運動を兼ねた俺のささやかな努力。 歩道には老若男女あらゆる人が行き交い、車道には当然ながら車が数多く走っている。 寒いな……。 寒さの原因である大型トラックが通った事による冷たい風がジャージを通り抜けて俺の肌を刺してくる。 ってそれだけじゃないか。 等間隔に植えられている木には色鮮やかなイルミネーションが施してある。そう、もう時期クリスマス。 カップル共がイチャコラキャッキャと騒ぎ立てる1年の中でも嫌いな分類のイベントが、もう間近に迫ってきている。 このイベントに備えて彼氏彼女を作る奴も居るんだろうか?もし居るとしたらその頑張りを他に生かした方が何倍も自分の為になるぞ、と言ってやりたいものだ。 そんな季節にジャージ1枚で外に出る俺はもっと服装を頑張れと言われても何も言い返せない。
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