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平和な午後の昼下がり、ある小国の王の間の扉を乱暴に開け放つ者がいた。
普通なら不敬罪で死刑に値するものだが、当事者の彼女には適用できなかった。
「お父様、
これはどういう事ですか!」
肩まである銀色の美しい髪を揺らしながら、明らかに何かしらの怒りをあらわにした小柄な女の子が、玉座に座る男に問いただしていた。
「ア、アリス、
…何をそんなに怒っておる?」
普段ここまで感情を出さない娘が、怒りを剥き出している事に動揺しつつも問いかける。
「王立フィリア魔法学園の事です!私(わたくし)の承諾も無しに勝手に入学を決めるとはどういう事かと聞いているのです!」
「いや、
しかし…それはだな…」
少女の怒りに狼狽する国王。
周りの大臣や護衛の騎士達は、誰一人として止める事も出来ずに静観していた。
「よもや私を政略結婚の道具に利用しようというのですか!
……もし、そうならば……」
不意に少女の纏っていた空気が変わった。
その場に居る者達は少女の質の高い魔力にあてられて身震いする者、青ざめて倒れる者などが続出し国王を守る為に動ける者など、その場には誰も居なかった。
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