プロローグ

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都心のとある駅 朝8時 流石通学通勤ラッシュと言うだけあって 自分の立ち位置さえも分からなくなる 人、人、人、人 行き交う人は皆スーツや制服を着て いつも何かに悩んでいるような深刻な顔で 早足で真横を通る そこはまるで私にとって 「最高の狩場」 治安の良いと言われる日本で ズボンやジーンズの後ろ側に財布を入れているカモなんて山ほど 彼らは忙しい 私には好都合だ 人混みを見つけ 財布を見つけ 忙しそうな彼らを横目に 指2本でスッと長財布を抜くだけ そして人混みを反対方向に潜り抜ける 私、小暮沙耶。高校2年生で一応進学校と呼ばれる高校に通っている。 親は生まれた時からいない 放課後はコーヒーショップのアルバイト そして夜は水商売でなんとか生計を立てる毎日 親の莫大な貯金がある為特にお金に困っているわけではない 自分にとってスリは一種の刺激と楽しみで 気づいたらやめられなくなってた 始めてから2年経った今 女性のスリなど世間が注目するはずもなく 捕まりもせずスキルだけが積まれ 罪の意識は一欠片も無い 「…今日のカモは5万か…まあ悪くないな」
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