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そして図書館に備え付けられていたシュレッダーに自分の書体を分解させた。締め切り一週間前に据えての暴挙である。その後、意気揚々と本棚から人類学の本を積み上げる。
幸恵のあまりにも思い切りの良さに僕は目が点になった。
果たして、自分はなにをしているのだろうかと振り返ってもしまう。論理武装を果たした僕の横に全裸に近い旧石器時代の女の子がいるのである。
その様子を考えてみたら僕は自分が馬鹿らしくなり笑ってしまった。
勝てない。僕は幸恵という奇想天外な発想と行動力を装備することはできない。間違いは間違いだと認識していても、すぐに切り替えできないのが人間の常なのだから。ところが、この女の子は過去から現在にきた迷い子なのだ。
人間という生き物に対して偏見を持っていた僕は、この女の子にすっかり気を許してしまっていた。
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