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僕たちは妊娠から迫りくる困難に打ち勝って、といっても幸恵のセコンドについただけであって、僕自身は大したことはしていないのだけれど。
それでも、惠と名付けた男の子に巡り会えた。
「これからはパパって呼ばないといけないかな」
幸恵は新生児を抱っこしながら、僕に問いかけてきた。
「あとからでもいいんじゃない。そんなに早く言葉なんて覚えきれるわけないんだから」
僕の投げ返しに、幸恵は親指を立てる。
「大丈夫私とあなたとの子だから、あっという間にダディまで言えるようになるわ」
ダディ。言われたくはない。
「パパでいいよ」
ぽつりと漏らした僕の言葉に、「よろしくねパパ」と幸恵は僕に世間一般の通り名を与えた。素晴らしい栄誉だった。
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