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第15章 もっと近くに(続き)
忍は、彼女の緊張を広げないよう
その場に彼女を残したまま、そっとリビングを離れた。
そして寝室へと向かい、ルームサービスをオーダーする。
はぁ……。
受話器を置いた忍は、大きなベッドの上に崩れるように座ると
小さく頭を抱えた。
そして、頭を包んだ両手を解けば、目の前に戻ってきたそれは
微かに震えている。
まったくこれじゃ、まるで初体験の少年じゃないか。
しかし、我ながら情けなくなるが、
苦笑すら浮かばないほどの緊張と不安に縛り付けられている。
だが――、
焦るな。
忍は、膝に肘をついて項垂れると、両目を閉じて自分に言い聞かせた。
せめて、この腕の中に彼女を囲うまでは――。
そんな思いを乗せ、忍は深い息をゆっくりと吐き出す。
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